記録が遅い、所見が薄い、評価が羅列になる。そんなときは「結論→根拠→解釈」の3行テンプレが効きます。作業療法の所見を5分で整える例文とコピペ型をまとめました。
評価と所見がブレなくなる「2レイヤー思考」で迷いを切る

評価は材料集め、所見は「だから何が言えるか」の結論です。ここが混ざると、文章は長いのに弱くなります。
評価は“事実”、所見は“結論と意味づけ”で書く
所見が書けない原因は、評価(事実)と所見(結論)を同じ文に詰め込むことです。評価は「起きていること」を並べ、所見は「その結果、生活で何が起きるか」を言い切ります。
例)評価寄り:「左上肢筋力低下、巧緻動作低下、食事に時間を要する」
所見:「左上肢の支持性・操作性低下により食事動作が非効率となり、食事時間が延長しています。」
材料は材料、結論は結論で分けると一気に整います。
突っ込まれない根拠は「場面・条件・指標」の3点で置く
所見の強さは根拠で決まります。根拠は「場面・条件・指標(数で追えるもの)」の3点セットが最短です。場面は更衣やトイレなど具体に、条件は手すりや声かけなど「何があればできるか」を添え、指標は時間・介助量・回数などを1つ入れます。
例)「トイレ移乗は手すり使用下で軽介助、立ち上がり開始まで30秒以上を要し、注意が逸れると中断しやすい。」
再現できる文章になると、読み手の納得が増します。

所見が5分で整う「結論→根拠→解釈」の3行テンプレ

所見が遅い人ほど、材料から書き始めて迷います。まず結論を決め、根拠を当てはめると速くなります。
結論は1文で言い切り、条件付きで安全に強くする
所見の1文目は「何が主要な問題(または強み)か」を言います。断定が怖いときは、条件を付けて安全に強く書けます。
例)「手すり使用下では立ち上がり可能ですが、手すりなしでは下肢支持性が不十分で介助を要します。」
「〜と思われる」を増やすより、条件(環境・道具・介助)を明記した方が誤解が減ります。
根拠は「検査+観察場面」の2セットで短く固める
根拠は盛りすぎると読みにくくなります。おすすめは「検査+観察場面」を1セットにして、2セットだけ置く形です。
例)「MMT(徒手筋力検査)で左3、把持持続が短い(検査)。食事で把持が緩み、すくい直しが増える(観察)。注意配分の低下がある(検査)。更衣で手順の抜けが出て声かけを要する(観察)。」
目標と介入へ自然につながる「次の一手」を2文で書く

所見が評価の言い換えで終わると、目標と介入が急に飛びます。最後に「次の一手」を2文足すだけでつながります。
所見→目標が飛ばない“課題化”のコツ(できない理由の言語化)
目標が飛ぶのは、「できない」を事実だけで止めるからです。所見の中で、できない理由を1段だけ深掘りして課題化します。
例)「更衣で袖通しで停止し声かけを要します(事実)。注意配分低下により段取りが崩れ、手順の抜けが生じやすい点が課題です(理由)。」
課題が明確になると、目標は「声かけ1回以内」「所要時間○分」など測れる形にしやすくなります。

所見→介入がブレない“介入方針”の型(何を・どう変えるか)
介入は「何を」「どう変えるか」で1文にまとめます。主戦略は1つに絞るとブレません。
例)「注意配分と手順保持を主課題として、工程分解と視覚提示で反復し、声かけ量の減少を図ります。」
補助的な内容は実施計画に回し、所見では軸を一本にします。
SOAPとICFを使っても破綻しない「2つの変換ルール」

枠組みは「書く場所」を決めると便利になります。言い換えの繰り返しにならないのが大事です。
SOAPはAに所見を置き、Pで評価計画まで書くと迷わない
SOAPはS(主観)/O(客観)/A(評価)/P(計画)の整理です。S/Oは材料、Aが所見の本体にします。Pは介入だけで終わらせず、評価計画(何を指標に追うか)を1行足すと迷いません。
例)P:「声かけ回数と所要時間を指標として再評価し、介助量の変化を確認します。」

ICFは活動・参加・環境を1行ずつ足して生活行為に落とす
ICF(国際生活機能分類)は「生活にどう影響するか」を短く言いやすい枠組みです。活動・参加・環境を1行ずつ足すと、過不足が減ります。最後に次の一手を置けば分類で終わりません。
例)「活動:トイレ移乗は手すり下で軽介助/参加:外出が減る/環境:手すり位置が遠い→手すり調整+手順固定を実施」
ADL所見が具体化する「更衣・トイレ・食事」の3場面テンプレ

ADLは「できる/できない」だけだと薄く見えます。観点を固定すると短文でも濃くなります。
更衣は“手順”と“左右差”を押さえると所見になる
更衣は①準備②袖通し③整えのどこで止まるかを押さえます。左右差(操作性・支持性)を添えると原因が見えます。
例文)「上衣更衣は袖通しで停止し声かけを要します。左上肢操作性低下と注意配分低下が影響します。工程分解と視覚提示で声かけ量を減らします。」
トイレは“安全・時間・介助量”でまとめると伝わる
トイレは多職種が読む前提なので、安全・時間・介助量の3点でまとめます。
例文)「トイレ移乗は手すり下で軽介助を要します。方向転換でふらつきが出て所要時間が延長します。手すり位置調整と手順固定で安全性と介助量を改善します。」
食事は“姿勢・操作・嚥下”を切り分けると根拠が立つ
食事は「姿勢」「操作」「嚥下」を混ぜないと根拠が立ちます。
例文)「体幹が不安定で姿勢が崩れ、口元運搬の精度が低下します。把持持続が短くすくい直しが増え、食事時間が延長します。座位支持調整と自助具、ペース調整で効率化を図ります。」
高次脳・失語・認知症でも使える「観察→機能→行為」の3段変換

症状名や検査名だけだと、所見として弱く見えます。観察→機能→行為の順に翻訳すると強くなります。
高次脳は“注意・記憶・遂行”を行為の困りごとへ翻訳する
まず現象(止まる・逸れる等)を書き、次に機能(注意・記憶・遂行のどれか)を一言で置き、最後に行為(生活の困り)へ落とします。
例)「工程の抜けが出る→選択性注意(必要な情報に集中する力)の低下→服薬や火の管理で見落としリスク。チェック表など外的手がかりを併用します。」
失語は“理解・表出・代償手段”のセットで短く書く
最低限「理解(どこまで入るか)」「表出(何が出にくいか)」「代償手段(何なら通じるか)」を1行ずつ書きます。
例)「短文理解は可能で、複数指示で取り違えがあります。喚語困難がありヒントで改善します。指差しとYes/Noは安定しており、選択肢提示で意思確認します。」
認知症は“できる/できない”より“必要な支援条件”を書く
強いのは「どうすればできるか」です。道具配置、手順提示、促し方を具体に書きます。
例)「手順の抜けがあり促しで再開します。道具を使用順に配置し、1工程ずつ提示して自立度維持を図ります。」
回復期と訪問で刺さる所見に変わる「退院・生活像」の2行追加

所見の末尾に2行足すだけで、退院支援やサービス調整に直結します。
回復期は「退院後の想定+必要介助量」で見立てが締まる
型は「退院後の想定」+「必要介助量」です。
例)「自宅トイレは手すり下で見守り〜軽介助を要します。方向転換のふらつきが残るため、手すり調整と手順固定を優先します。」
訪問は“生活の再現場面”で根拠を置くと一気に強くなる
病棟と家の“差”が根拠になります。
例)「平坦は見守り可能ですが段差と狭小動線でつまずきが増えます。動線整理と手すり追加を行い、段差条件で練習します。」
コピペで使える「30秒版・標準版・チーム共有版」の3テンプレ

迷ったら標準版、忙しい日は30秒版、共有が必要な日はチーム共有版に切り替えます。
30秒版(忙しい日でも通る最短型)
結論(条件つき):〜は(条件)で〜、(条件)では〜を要します。
根拠(1セット):〜の所見があり、〜場面で〜がみられます。
次の一手(1文):〜を主課題として、〜により〜を図ります。
標準版(結論・根拠・解釈・次の一手まで揃う型)
結論:〜が主要課題です。
根拠(検査+観察)×2:〜(検査)。〜(観察)。
解釈:生活で〜に支障が出やすいです。
次の一手:指標を置き、〜を実施します。
チーム共有版(多職種に誤解されない型)
現状(介助量/安全)→背景(身体/認知/環境)→提案(環境/サービス/指導)の3行でまとめます。
所見の質が上がるチェックを5つで締める

- 結論が1文で言えているか
-
根拠が“場面・条件・指標”になっているか
-
評価の羅列で止まっていないか
-
目標・介入が飛んでいないか
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主戦略が1つに絞れているか
まず「結論→根拠→解釈」で1本書いてみてください。慣れたら“次の一手”を2文足すだけで、所見が目標と介入へ自然につながります。



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